柵(しがらみ)なき重力論

自由に重力論を展開します。

慣性系とは:速度の方向

その慣性系が空間座標だけの座標系の場合、「慣性系どうしが相対速度 で動いている」というのは、慣性系A'のある座標 が、慣性系Aから見て、ある時刻 で座標 と対応し、またある時刻 で座標 と対応し、 ということです。 この場合、座標が離れていく方向、つ…

慣性系とは:軸の方向と原点の位置

時間座標も含む座標系としての慣性系AとA'では、速度 というパラメータを設定し、ローレンツ変換 (ここで ) で座標変換を行います。 上の式の場合、 ・AとA'とで、空間の直行する3軸(x軸、y軸、z軸)の方向が一致・ はx軸方向への速度・原点(0,0,0,0)が…

慣性系とは:空間座標だけの場合と時間座標も含む場合

いまさらですが、「慣性系」とは何なのか、考えてみたいと思います。 一言で言うと、「ある物理現象がいつどこで起きたのかを観測者が記述するための座標系」ということですね。 (なお、しばらくの間「直交座標」を考えます) 「慣性系AとA'があり相対速度 …

続:速度v(t)に注意(3)

昨日の記事のつづきです。 X軸方向、Y軸方向ともに等速度運動で、初期値がある場合、、 を考えます。 ① 物体の位置の単位時間ごとの変位の場合は…。 (式1) です。 ② 物体までの距離の単位時間ごとの変位の場合は…。 です。 ここで平方根の中を、 と置いて…

続:速度v(t)に注意(2)

昨日の記事のつづきです。 「速度」とは、 ① 慣性系から見た、物体の位置の単位時間ごとの変位。 ② 観測者から見た、物体までの距離の単位時間ごとの変位。 のふたつがあります。 計算するとどう違うのか、X軸方向、Y軸方向ともに等速度運動である場合、、 …

続:速度v(t)に注意(1)

「速度」とは何でしょう。 そんな基本的なことをいまさら? 「速度」には、ふたつあります。 ① 慣性系から見た、物体の位置の単位時間ごとの変位。 ② 観測者から見た、物体までの距離の単位時間ごとの変位。 同じ…、ではありません。 計算方法が違います。 ①…

深宇宙探査機に乗って、見る(10)

昨日の記事のつづきです。 深宇宙探査機から見た地球までの距離は、X軸方向が、 (式1X) Y軸方向が、 (式1Y) です。 これを深宇宙探査機の時刻で微分し、深宇宙探査機から見た地球の速度を求めます。 X軸方向の速度は、 です。(詳しい計算は「深宇宙探…

深宇宙探査機に乗って、見る(9)

昨日の記事のつづきです。 一昨日の記事で、深宇宙探査機から見た地球までの距離は、X軸方向が、 (式1X) Y軸方向が、 (式1Y) でした。 昨日の記事で、地球での時刻 を深宇宙探査機自体の時刻 に変換する式は、 (式2) でした。 式2を、式1X、式1Y…

深宇宙探査機に乗って、見る(8)

昨日の記事記事のつづきです。 地球から見た深宇宙探査機の速度は、X軸方向が、 (式1X) Y軸方向が、 (式1Y) です。 今回は、地球での時刻 を深宇宙探査機自体の時刻 に変換したいと思います。 地球での微小時間 と地球から見た深宇宙探査機自体の微小…

深宇宙探査機に乗って、見る(7)

加速度運動する深宇宙探査機に乗った観測者が見た、物体(地球)の速度についてです。 地球がY軸方向に動いている場合を考えてみたいと思います。 深宇宙探査機は、時刻 に地球を出発し、その後、等加速度 でX軸方向に地球を離れていきます。 地球は時刻 で…

距離の逆3乗は双曲線?

「加速度が変化する場合(7)」で、加速度が原点からの距離の3乗に反比例する場合、 ・時刻 のときの物体の位置は ・時刻 のときの物体の速度は ・加速度は原点からの距離の3乗に反比例: ( は比例定数) 物体の位置と時刻は、媒介変数 を使って、 (式…

加速度が変化する場合(8)

前回の記事で、加速度が原点からの距離の3乗に反比例する場合、 ・時刻 のときの物体の位置は ・時刻 のときの物体の速度は ・加速度は原点からの距離の3乗に反比例: ( は比例定数) 媒介変数 で、物体の位置と時刻は、 (式1) (式2) となることを…

長さの縮み、時間の伸びの逆変換

慣性系AとBが、相対速度 で動いているとします。 Aでの長さ (相対速度 の方向の長さ)は、Bから見て に縮みます。( であることに注意。光速度を1としています) 例えば、相対速度が光速度の50%だとすると…。 Aが「この棒は1メートルあります」と言ってい…

加速度が変化する場合(7)

加速度が原点からの距離の3乗に反比例する場合を考えます。 想定は、 ・時刻 のときの物体の位置は ・時刻 のときの物体の速度は ・加速度は原点からの距離の3乗に反比例: ( は比例定数) です。 と考えて、これを変数分離で積分します。 積分の範囲は、…

距離の相対性、速度の相対性(2)

距離の相対性、速度の相対性の2回目です。 観測者A、Bが互いを観測しています。 Aが測ったBの速度を としたとき、Bが測ったAの速度 がどうなるか考えます。 今回は、観測者Aが慣性系にいて、観測者Bは加速度運動をしているとします。 BがB自身にとっての等…

距離の相対性、速度の相対性(1)

ふたりの観測者A、Bがいて、互いを観測しているとします。 Aから見たBまでの距離とBから見たAまでの距離は同じ(相対的)です。また、Aから見たBの速度とBから見たAの速度は同じ(相対的)です。 ただし、AとBとで時間の流れが異なったり長さの伸び縮みがあ…

非相対論でのシュワルツシルト半径

「加速度が変化する場合(6)」の記事で、加速度が原点からの距離の2乗に反比例する場合の物体の位置、速度について求めました。 物体の位置と時刻を媒介変数 を用いて、位置と時刻は、 (式1) (式2) 速度は、 (式3) でした。( は省略しました) …

加速度が変化する場合(6)

昨日の記事では、以下を想定した場合、 ・時刻 のときの物体の位置は ・時刻 のときの物体の速度は ・加速度は原点からの距離の2乗に反比例: ( は比例定数) 物体の位置と時刻を媒介変数 を用いて、 (式2x) (式2t) と表す解が見つかりました。 今回…

加速度が変化する場合(5)

昨日の記事のつづきです。 以下を想定し、 ・時刻 のときの物体の位置は ・時刻 のときの物体の速度は ・加速度は原点からの距離の2乗に反比例: ( は比例定数) 微分方程式 (式1) を立て、関数 の形を と想定して解いてみましたが、うまく解けませんで…

加速度が変化する場合(4)

昨日の記事のつづきです。 以下を想定し、 ・時刻 のときの物体の位置は ・時刻 のときの物体の速度は ・加速度は原点からの距離の2乗に反比例: ( は比例定数) 微分方程式 (式1) を立てて解きました。 初期条件のうち、「時刻 のときの物体の速度は …

加速度が変化する場合(3)

昨日の記事のつづきです。 加速度が変化する場合について調べています。以下を想定としています。 ・時刻 のときの物体の位置は ・時刻 のときの物体の速度は ・加速度は原点からの距離の2乗に反比例: ( は比例定数) この想定から、微分方程式 (式1) …

加速度が変化する場合(2)

昨日の記事から、加速度が変化する場合について調べています。 以下を想定としています。 ・時刻 のときの物体の位置は ・時刻 のときの物体の速度は ・加速度は原点からの距離の2乗に反比例: この想定から、微分方程式 を立てました。 この方程式を解いて…

加速度が変化する場合(1)

加速度が変化する場合について調べてみたいと思います。 想定としては、 ・加速度運動する物体がX軸方向に動く・物体の位置 、速度 、加速度 は時刻の関数で表される・時刻 のときの物体の位置は ・時刻 のときの物体の速度は ・加速度は原点からの距離の2…

大きさのある物体の加速

大きさのある物体が等加速で動くとき、ふたつの場合が考えられます。 ひとつは、その物体のすべての部分が同時に加速し、同じ速度を持つ場合です。 以前の記事「2階建てロケットに乗る」では、そのような場合を想定していました。 この場合、静止している観…

深宇宙探査機に乗って、見る(6)

昨日の記事のつづきです。 深宇宙探査機から見た地球までの距離は、 (式1) です。 これを時間で微分して、地球が離れていく速度を求めます。 そのため、式1の時刻(地球での時刻) を、深宇宙探査機の時刻に変更します。 時刻 は、深宇宙探査機が地球を…

深宇宙探査機に乗って、見る(5)

昨日の記事のつづき。加速度運動する深宇宙探査機に乗った観測者が見た、物体(地球)の速度についてです。 深宇宙探査機は、時刻 に地球を出発したとします。その後、等加速度 で地球を離れていきます。 地球の位置は で、静止しているとします。 地球から…

深宇宙探査機に乗って、見る(4)

もう4か月近く以前になりますが、加速度運動する深宇宙探査機に乗った観測者が見た、物体(地球)の速度について記事を書きました。 そのとき「これらは誰から見た物体の速度でしょうか?」という問いを出しましたが、どうも、答えがすっきりしていなかった…

実験:磁気単極子をつくる(危険)

注意【重要】 この工作実験は狭い空間に磁気エネルギーを閉じ込めます。既存の物理法則に反するものを作りますので非常に危険です。実験を行う場合は、専門家の指導の下で行ってください。どのような結果にも、当方は一切の責任を負いません。 用意するもの …

逆:離れていく物体の時間をグラフで考える(6)

物体から離れていく観測者から、物体の時間がどう見えるか、グラフで考える6回目です。(このシリーズの最終回です) 前回は、観測者から見た物体の時間の進み を、観測者と物体との距離 の関数として求めました。 (式1) ただし、 は物体の慣性系での観…

逆:離れていく物体の時間をグラフで考える(5)

物体から離れていく観測者から、物体の時間がどう見えるか、グラフで考える5回目です。(このシリーズ、長いですね) 前回は、観測者から見た物体の時間の進み を、観測者と物体との距離 の関数として求めました。 (式1) ただし、 は物体の慣性系での時…