柵(しがらみ)なき重力論

自由に重力論を展開します。

深宇宙探査機に乗って、見る(5)

昨日の記事のつづき。加速度運動する深宇宙探査機に乗った観測者が見た、物体(地球)の速度についてです。

深宇宙探査機は、時刻 t=0 に地球を出発したとします。
その後、等加速度 a で地球を離れていきます。

地球の位置は x=0 で、静止しているとします。

地球から見た深宇宙探査機の速度は、

 \displaystyle v=\frac{a×t}{\sqrt{1+(a×t)^2}} (式1)

地球から見た深宇宙探査機の軌道は、

 \displaystyle (x+(1/a))^2-t^2=(1/a)^2 (式2)

です。

地球から見て深宇宙探査機が位置 x にいるとき、地球から見た深宇宙探査機までの距離は x-0=x ですが、この距離を深宇宙探査機から見ると、
 l=x×\sqrt{1-v^2}
に縮んでいます。

これを計算してみましょう。

深宇宙探査機が位置は、式1を変形して、

 \displaystyle (x+(1/a))^2=(1/a)^2+t^2

 \displaystyle x+(1/a)=\sqrt{(1/a)^2+t^2}

 \displaystyle x=\sqrt{(1/a)^2+t^2}-(1/a)

 \displaystyle =(1/a)×\left(\sqrt{1+(a×t)^2}-1\right)

です。

距離の縮みは、式2から、

 \displaystyle \sqrt{1-v^2}=\sqrt{1-\left(\frac{a×t}{\sqrt{1+(a×t)^2}}\right)^2}

 \displaystyle =\sqrt{1-\frac{(a×t)^2}{1+(a×t)^2}}

 \displaystyle =\sqrt{\frac{1+(a×t)^2-(a×t)^2}{1+(a×t)^2}}

 \displaystyle =\sqrt{\frac{1}{1+(a×t)^2}}

 \displaystyle =\frac{1}{\sqrt{1+(a×t)^2}}

です。

合わせると、
 l=x×\sqrt{1-v^2}

 \displaystyle=(1/a)×\left(\sqrt{1+(a×t)^2}-1\right)×\frac{1}{\sqrt{1+(a×t)^2}}

 \displaystyle=(1/a)×\left(1-\frac{1}{\sqrt{1+(a×t)^2}}\right) (式3)

となります。

これが、深宇宙探査機から見た地球までの距離です。

深宇宙探査機から見て、地球がどれくらいの速度で離れていくのかは、これを時間で微分すればよいですね。

ただし、式3の t は地球での時刻です。
深宇宙探査機から見た地球の速度を出すには、深宇宙探査機の時間で微分しなければなりません。(つづく) 

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