柵(しがらみ)なき重力論

自由に重力論を展開します。

深宇宙探査機に乗って、見る(7)

加速度運動する深宇宙探査機に乗った観測者が見た、物体(地球)の速度についてです。

地球がY軸方向に動いている場合を考えてみたいと思います。

深宇宙探査機は、時刻 t=0 に地球を出発し、その後、等加速度 a でX軸方向に地球を離れていきます。

地球は時刻 t=0 で位置 (0,0) にあり、Y軸方向に速度 u_y で等速に動いているとします。

地球から見た深宇宙探査機の速度は、X軸方向が、

 \displaystyle v_x= \frac{a×t×(1-u_y^2)}{\sqrt{1+(a×t)^2×(1-u_y^2)}} (式1X)

Y軸方向が、

 \displaystyle v_y= u_y (式1Y)

です。(求め方は「加速運動する物体を慣性系から見る:Y軸編(3)」を参照してください)

地球から見た深宇宙探査機の軌道は、X軸方向が、

 \displaystyle x =\frac{1}{a}×\left(\sqrt{1+a^2×t^2×(1-u_y^2) }-1\right) (式2X)

Y軸方向が、

 \displaystyle y = u_y×t (式2Y)

です。(求め方は「加速運動する物体を慣性系から見る:Y軸編(2)」を参照してください)

地球から見て深宇宙探査機が位置 (x,y) にいるとき、地球から見た深宇宙探査機までの距離は、X軸方向が x-0=x、Y軸方向が y-0=y ですが、この距離を深宇宙探査機から見ると、それぞれ、
 l_x=x×\sqrt{1-v_x^2}
 l_y=y×\sqrt{1-v_y^2}

に縮んでいます。

これを計算してみましょう。(計算中、掛け算の記号は省略します)

X軸方向の距離の縮みは、式1Xから、

 \displaystyle \sqrt{1-v_x^2}=\sqrt{1-\left(\frac{at(1-u_y^2)}{\sqrt{1+(at)^2(1-u_y^2)}}\right)^2}

  \displaystyle =\sqrt{1-\frac{(at)^2(1-u_y^2)^2}{1+(at)^2(1-u_y^2)}}

  \displaystyle =\sqrt{\frac{1+(at)^2(1-u_y^2)-(at)^2(1-u_y^2)^2}{1+(at)^2(1-u_y^2)}}

  \displaystyle =\sqrt{\frac{1}{1+(at)^2(1-u_y^2)}}

  \displaystyle =\frac{1}{\sqrt{1+(at)^2(1-u_y^2)}}

です。

深宇宙探査機から見たX軸方向の距離は、式2Xと合わせて、

 \displaystyle l_x=x×\sqrt{1-v_x^2}

  \displaystyle =\frac{1}{a}\left(\sqrt{1+(at)^2(1-u_y^2) }-1\right)×\frac{1}{\sqrt{1+(at)^2(1-u_y^2)}}

  \displaystyle =\frac{1}{a}\left(1-\frac{1}{\sqrt{1+(at)^2(1-u_y^2)}}\right) (式3X)

です。

Y軸方向の距離の縮みは、式1Yから、

 \displaystyle \sqrt{1-v_y^2}=\sqrt{1-u_y^2}

です。

深宇宙探査機から見たY軸方向の距離は、式2Yと合わせて、

 \displaystyle l_y=y×\sqrt{1-v_y^2}

  \displaystyle =u_yt×\sqrt{1-u_y^2} (式3Y)

です。

深宇宙探査機から見て、地球がどれくらいの速度で離れていくのかは、これらを時間で微分すればよいですね。

ただし、式3X、式3Yの t は地球での時刻です。
深宇宙探査機から見た地球の速度を出すには、深宇宙探査機の時間で微分しなければなりません。(つづく) 

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