逆:離れていく物体の時間をグラフで考える(5)
物体から離れていく観測者から、物体の時間がどう見えるか、グラフで考える5回目です。(このシリーズ、長いですね)
前回は、観測者から見た物体の時間の進み を、観測者と物体との距離 の関数として求めました。
(式1)
ただし、 は物体の慣性系での時間間隔でした。
今回はこれを、観測者の慣性系での時間間隔 で考え、 を求めててみます。
は、物体が短い時間間隔 で2回放った光を観測者が受け取る時間間隔でした。
観測者が1回目の光を受け取ったイベントと2回目の光を受け取ったイベントとの世界間隔 の2乗は、物体の慣性系では観測者が速度
で動いていますので、時間間隔の2乗-空間間隔の2乗で、
です。
これを、観測者と物体との距離 で表すと、観測者の軌道
から
ですので、
となります。
一方、観測者の慣性系では、ふたつのイベントの世界間隔は、観測者が静止していますので、
となります。
世界間隔はどの慣性系で測っても等しいですので、
です。
求めたい は、
これを式1に適用して、
です。
観測者から見た物体の時間の進みは、 で 。
で です。
ただし、 は物体の慣性系での距離であり、観測者のいる慣性系での距離ではありません。(つづく)