柵(しがらみ)なき重力論

自由に重力論を展開します。

深宇宙探査機に乗って、見る(6)

昨日の記事のつづきです。

深宇宙探査機から見た地球までの距離は、
 \displaystyle l=(1/a)×\left(1-\frac{1}{\sqrt{1+(a×t)^2}}\right) (式1)

です。

これを時間で微分して、地球が離れていく速度を求めます。

そのため、式1の時刻(地球での時刻)t を、深宇宙探査機の時刻に変更します。

時刻 t は、深宇宙探査機が地球を出発してからある時点までの、地球での経過時間です。

地球で t だけ経ったとき、深宇宙探査機で t' 経ったとして、その関係は以前の記事で求めました。

 a×t = \sinh(a×t')

です。

式1に代入して、

 \displaystyle l=(1/a)×\left(1-\frac{1}{\sqrt{1+(a×t)^2}}\right)

 \displaystyle =(1/a)×\left(1-\frac{1}{\sqrt{1+\sinh^2(a×t')}}\right)

 \displaystyle =(1/a)×\left(1-\frac{1}{\sqrt{\cosh^2(a×t')}}\right)

 \displaystyle =(1/a)×\left(1-\frac{1}{\cosh(a×t')}\right) (式2)

です。

式2を深宇宙探査機の時間で微分して、深宇宙探査機から見た地球(離れていく)の速度を求めます。

 \displaystyle v'=\frac{dl}{dt'}

 \displaystyle =\frac{d}{dt'}\left((1/a)×\left(1-\frac{1}{\cosh(a×t')}\right)\right)

 \displaystyle =\frac{d}{dt'}(1/a)-\frac{d}{dt'}\left((1/a)×\frac{1}{\cosh(a×t')}\right)

 \displaystyle =0-(1/a)×\frac{d}{dt'}\frac{1}{\cosh(a×t')}

 \displaystyle =-(1/a)×\left(a×\frac{-\sinh(a×t')}{\cosh^2(a×t')}\right)

 \displaystyle =\frac{1}{\cosh(a×t')}×\tanh(a×t')

です。

深宇宙探査機から見た地球(離れていく)の速度は、t'=0 のとき(深宇宙探査機が地球を出発したとき)v=0 です。(まあ、これはそうですね)

加えて t'\to\infty のときも v\to 0 になります。

深宇宙探査機から見た地球までの距離 l は、式2から、 t'\to\infty のとき l\to (1/a) ですので、 深宇宙探査機は地球から距離 l=(1/a) 以上に離れることができないのです。 

f:id:Dr9000:20200830163230j:plain