柵(しがらみ)なき重力論

自由に重力論を展開します。

時空間

深宇宙探査機に追いつけない光

昨日の記事で、等加速度 で宇宙の果てに向かう深宇宙探査機の位置 は双曲線 (式1)であらわされると書きました。 双曲線のグラフは、時刻 に、位置 (=地球)を出発した深宇宙探査機の軌道を示します。(地球から見た軌道です) さて、双曲線には「漸近線…

深宇宙探査機を見送る(4)

一定加速度 で宇宙の果てまで旅をする深宇宙探査機について、連続して書いています。 地球から見た深宇宙探査機の速度 は、 (式1) となることがわかりました。 では、地球から見た深宇宙探査機の位置 はどうなるでしょうか。式1を積分すればよいですね。…

深宇宙探査機を見送る(3)

昨日の記事で、一定加速度 で宇宙の果てまで旅をする深宇宙探査機を地球から見た速度 は、 (式1) であると書きました。 具体的な数値を入れて、どれぐらいの速さになるか見てみましょう。 式1は、光速度が1となる単位系で書いていますが、われわれが日常…

深宇宙探査機を見送る(2)

昨日の記事で、一定加速度 で宇宙の果てまで旅をする深宇宙探査機について書きました。 地球から見た深宇宙探査機の加速度 は、 (式1)となることがわかりました。 ただ、この式では、時刻 のときの深宇宙探査機の速度 が示されていません。ちょっと計算し…

深宇宙探査機を見送る(1)

重力について関心のある人、研究している人なら、誰しも一度は宇宙の果てに行ってみたいと思うでしょう。 でも、そこがどうなっているのか、そこに行くのにどれくらいの時間がかかるのか、そもそも「果て」があるのかもわかりません。 そこで、まずは深宇宙…

等価原理のすばらしさと、ちょっと注意点

加速度が生み出す慣性力と重力は同じであるという等価原理は素晴らしく、また便利なものです。 重力で何が起きるかということを考える代わりに、加速度系で何がきるかを考えればよいのですから。いろいろなことを、単純化して考えることができます。 ただし…

誰にでもドップラー効果はある

ドップラー効果とは、パトカー、救急車、消防車のサイレンが高くなったり、低くなったり、動いている物体から放たれた光が、青くなったり(青方偏移)、赤くなったり(赤方偏移)する、あれです。 ちょっと計算してみましょう。次の想定をします。 観測者の…

おなじみの「双子のパラドックス」(2)

昨日、双子のパラドックスを世界距離で解決する記事「「双子のパラドックス」(1)」を書きました。 その際、地球にいる(兄と同じ系にいる)観測者から見た式を立てました。世界距離はどの系から見ても同じなので、計算が簡単になるよう、地球にいる観測者…

おなじみの「双子のパラドックス」(1)

双子の兄弟の弟がある天体に行って戻ってきます。兄はそれを地球で待っています。 兄から見て弟はある速度で動くのでその時間は伸びます。弟から見ると兄のほうが動いているのでその時間は伸びます。 弟が地球に戻ってきたとき、兄から見て弟は自分より齢を…

速度の合成の補足

何日か前に、速度の合成についての記事を書きました。 ある系Aで速度で動く物体を、その系に対して速度である系A'から見たとき、物体の速度は、 になるというものです。 このように、ある系で動く物体を他の系から見ると、物体の速度は単純な足し算にはなり…

世界距離は振動の累積数

ふたつの事象の間の世界距離はどのような系から見ても同じです。われわれは、そのような時空間にいます。 世界距離って、何なんでしょうか。 ある系から別の系を見ると、時間が伸びたり、長さが縮んだりする。そんな時空間において、どのような系から見ても…

向かってくる物体は超光速にも見える

「見かけの速度」というのがあります。 本当はその速度では動いていないが、その速度で動いているように見えるというものです。 例えば、100光年先の天体から、ロケットが光速度の80%で地球に向かってくるとします。 「ロケットが天体を出発した」とい…

光速度不変は出発点ではなく結論

いままでの記事で、「時間の伸び」、「長さの縮み」、「ローレンツ変換」、「速度の合成」について書きました。 その中では、「光速度は不変」ということは使っていません。 使ったのは、「われわれのいる時空間はミンコフスキー空間で、世界距離の2乗はど…

おなじみの「速度の合成」

アインシュタインの特殊相対性理論による速度の合成には、驚くべきことが二つあります。 ちょっとびっくり:単純な足し算じゃない とってもびっくり:垂直方向の速度も変わる! 速度の合成とは、ある系(慣性系)Aで観測した物体の速度がであるとき、その系…

ブラックホールに行ってみる(3)

(「ブラックホールに行ってみる(2)」のつづきです。) 超々巨大ブラックホールではシュワルツシルト半径での重力加速度が地球上と同じ程度になるという噂を信じて、超々巨大ブラックホールに行ってみることにします。 どれぐらい大きさのブラックホール…

ブラックホールに行ってみる(2)

(「ブラックホールに行ってみる(1)」のつづきです。) ブラックホールに行っては見たいが、重力で押しつぶされる、潮汐力で引き裂かれるという噂に、二の足を踏んでいる皆さんには、耳寄りな情報がありました。 それは、超々巨大ブラックホールでは、シ…

ブラックホールに行ってみる(1)

重力について関心のある人、研究している人なら、誰しも一度はブラックホールに行ってみたいと思うでしょう。 特に、シュワルツシルト半径を通過するときにどうなるのか、知りたいものです。 ただ、「強い重力で押し潰される」、「潮汐力で引き裂かれる」、…

ローレンツ変換の逆変換の確認

ローレンツ変換の式とは、ある系Aの座標から別の系A’の座標への変換式です。 、 、 、 (ここで、) これは、系Aから系A'への変換ですが、系A'から系Aへの変換もの向きが逆になるだけで、同じ形の変換式になるはずです。 確かめてみましょう。 まず、に関す…

ローレンツ変換の式の導入

ローレンツ変換の式は、光速度不変と斜交座標を使って図的に導入したり、一次式の変換であることを前提にその係数を求めるというやり方で導入したりすることがあります。 ここでは、ミンコフスキー空間の性質を使って、ローレンツ変換の式を導入してみます。…

時々勘違いする「どちらが縮んでいるの」

以前の「長さの縮み」の記事で、動いている棒は短く見えると書きました。 式にすると、 止まっている棒の長さ: 動いている棒を見た時の長さ:とすると、 です。についての式に直すと、 ということで、動いている棒の長さは倍に縮んで見えます。 一方、ロー…

物理的意味がわかりやすいローレンツ変換の式

ローレンツ変換の式は、 、 、 、 (ここで、) のように書かれることが多いですが、実は、 、 、 、 と書いたほうが、物理的な意味が理解しやすいですね。 物理的な意味としては、 ・4つの式はすべて同じ単位 ・は、速度が光速度の何倍か ・は、時間的距離…

ニュートンは相対性理論を発見できなかった

地上が慣性系だと想定していたのでしょうか。 慣性系は、運動の第1法則で定義されます。 「質点は、力が作用しない限り、静止または等速直線運動する」 そこでは、第2法則が成立するはず。 「質点の加速度は、そのとき質点に作用する力に比例し、質点の質…

全宇宙会議での標準静止系の提案

絶対静止系ってないですよね。 全宇宙会議で、いつも揉めるんです。 「お前の時計は遅れている」 「いや、遅れているのはお前の時計のほうだ」 「だから会議に遅刻するんだろ」 「お前は速く動きすぎ」 「お前が早く来れるのは距離が縮んでいるせいだ」とか…

おなじみの「長さの縮み」

動いている棒の長さを測るのは、簡単ではありません。よく「同時刻に棒の両端の座標を見る」と言われますが、それは実際にはむつかしいです。われわれは同時刻に異なる場所に存在することはできない(アリバイ証明の原理)ので、同時刻に棒の両端を直接見る…

おなじみの「時間の伸び」

特殊相対性理論による時間の伸びについて書きます。 時間の伸びとは、例えば、ある系(慣性系)での1秒が、動いている系からは1.2秒に伸びて見えるということです。 時間の伸びの説明は、特殊相対性理論の教科書・解説書では、「ローレン変換すると~」と書…

4次元を想像する

4次元を考えるって、むつかしいですよね。特に、図に描くことは、ほぼ無理です。頭の中で想像してみましょう。 ミンコフスキー空間の説明に、よく「光円錐」の図が出てきます。 図では、この円錐は3次元に見えますが、実は4次元の円錐です。 どうすれば、…

4次元の重力はどうなる

昨日の記事「逆2乗は重力の性質じゃない」で、重力源が点で周りの空間が3次元の場合、重力は距離の2乗に反比例しますと書きました。われわれの時空間は4次元(1+3)のミンコフスキー空間ですが、4次元の重力はどうなるでしょうか。 重力が大きくなく…

逆2乗は重力の性質じゃない

ニュートン力学では、重力の強さは、距離の2乗に逆比例するとされています。 でもこれは、重力の性質ではなく、重力源の形と、周りの空間の形からくる性質。 重力源が点(計算上、質量が中心点にあるとできる球でも同じ)で、周りの空間が3次元なら、重力の…

速度は無単位

われわれは、ふたつのイベント間の「時間的距離の2乗-空間的距離の2乗」の値はどの観測者から見ても同じである、という空間にいます。 2乗して差をとるのですから、時間的距離と空間的距離は、同じ単位でなければなりません。 われわれれは、日常、時間…

われわれのいる時空間は○○空間

アインシュタインは、光の速度が不変という仮説から出発して特殊相対性理論を組み立てましたが、後に、ミンコフスキーが「ミンコフスキー空間」を使って、これを数学的でエレガントに説明しました。 いまとなっては、「われわれのいる時空間はミンコフスキー…