われわれのいる時空間は○○空間
アインシュタインは、光の速度が不変という仮説から出発して特殊相対性理論を組み立てましたが、後に、ミンコフスキーが「ミンコフスキー空間」を使って、これを数学的でエレガントに説明しました。
いまとなっては、「われわれのいる時空間はミンコフスキー空間である」ということから特殊相対性理論を理解したほうがわかりやすいと思います。
ミンコフスキー空間とは、いま、ふたつの事象があったとして、それらの時間的距離と空間的距離とについて、
世界距離 =
がどの観測者から見ても同じである、という空間です。
ここでは特殊相対性理論のスコープでの議論ですので、すべての観測者は、それぞれの慣性系にいるとします。
なお、 と、符号を逆転して言う人もいますが、どちらを採るかは、まあ、趣味の問題ですね。
実際に世界距離の数値を計算するには、時間的距離と空間的距離を同じ単位ではからなければなりません。
われわれは、日常、時間的距離と空間的距離を異なる単位で測っています。(例えば、時間的距離は「秒」で、空間的距離は「メートル」で測ります)
なので、計算には、時間的距離と空間的距離とを同じ単位にする変換係数を使います。
時間的距離のほうを空間的距離と同じ単位に変換するとして、「ミンコフスキー空間における時間的距離 = われわれが日常計測する時間的距離 × 変換係数」です。
この変換係数は、「歴史的な経緯」から「光速度」と呼ばれていて、方程式などでは、記号cであらわされる物理定数です。
(時間的距離を「秒」で、空間的距離を「メートル」で測っていれば、この定数の具体的な値は、約299,792,458メートル/秒になります)
「ミンコフスキー空間なんて変な空間を使うのは嫌だ」というかたは、時間的距離と空間的距離のどちらかを実数単位で測り、どちらかを虚数単位で測ってください。
そうすれば、時間的距離と空間的距離とを区別せず、
世界距離 =
がどの系から見ても同じであるという空間、すなわち、ユークリッド空間として考えることができます。(虚数単位で測れば、2乗すると、マイナスになるので)