柵(しがらみ)なき重力論

自由に重力論を展開します。

動いている物体の時間の伸びの補足

慣性系Aから、相対速度 で動く他の慣性系A'を見たとき、A'の時間は、 倍に伸びて(ゆっくり進むように)見えます。 慣性系Aに観測者が固定されていて、慣性系A'に物体が固定されているとき、観測者から見た物体の時間は、 倍(物体が観測者に正面向かってく…

向かってくる・遠ざかっていく物体での光速度(2)

重力ポテンシャルがないところでも、ドップラー効果によって光の速度が変わって見えてしまう件ついて。 昨日は、それを解明する準備として、ローレンツ変換での時間や長さの伸び縮みについて復習しました。 その際の計算式で、光が斜めに進む距離 について、…

系の視点、観測者の視点(2)

前回の記事で、同じ慣性系の中で、異なる位置にいる観測者が物事をどう見るかについて書きました。今回は、加速度系の中で異なる位置にいる観測者の視点について考えます。 (1)観測者が互いを見る 加速度系にいる観測者は、一瞬一瞬は慣性系にいて、次々…

深宇宙探査機の帰還

旅に出ていた深宇宙探査機から、帰還するとの情報が届きました。 深宇宙探査機の現在の速度は光速度に近いはずですが、地上の重力加速度と同じ加速度で減速しながら地球に近づき、ちょうど速度ゼロで地球に到着することになっています。(「加速度で減速する…

深宇宙探査機の見かけの軌道、見かけの速度

地球から等加速度 で宇宙の果てに向かう深宇宙探査機を見送ったとき、その軌道は、 (式1) その速度は、 (式2)でした。( は地球を慣性系として見た座標です) これらの軌道と速度は、地球を慣性系として、その系全体を見渡せる視点からの軌道と速度で…

ドップラー効果から速度を求める

遠い天体の速度(視線速度=奥行き方向の速度)は、ドップラー効果で測定するそうです。 以前の記事でドップラー効果の式(速度から周波数の比)を求めました。 (式1) は観測者から見た光源の速度、 は観測者が受けとる(receive)振動数、 は光源が送る…

深宇宙探査機に指令が届くのはいつ

地上の重力加速度と同じ加速度 で、地球から遠ざかる深宇宙探査機。以前の記事で書きましたが、出発から1年後に地球から出された指令は、深宇宙探査機には届きません。 地球から見た深宇宙探査機の軌道は双曲線ですが、出発から1年後に地球から深宇宙探査…

〇行差

雨が上から降っているとき、傘は上向きに差します。 少し速足で歩くと、雨は前方斜めから降ってくるようになるので、傘も斜め前に差します。 これが、雨でなく、光でも同じ現象が起きること、つまり、速く動くと光が前方斜めから来るようになることが「光行…

おなじみの「光速度不変」について

光速度不変について、アインシュタインは、注意深く「光の速さは光源の運動に依存しない」と言っています。 観測者に光が届かなければ、観測者にとって光源は見えず、光源はないのと同じです。 光源がなければ「光の速さは光源の運動には依存しない」という…

ブラックホールの定義

「ブラックホールに行ってみる(3)」で、超々巨大ブラックホールの半径を計算しました。が、そもそも、「ブラックホール」って何なんでしょうか。(いまさらですが) まず、よく見るブラックホールの定義の?な例 (1)「重力が強くて光でさえも脱出でき…

誰にでもドップラー効果はある

ドップラー効果とは、パトカー、救急車、消防車のサイレンが高くなったり、低くなったり、動いている物体から放たれた光が、青くなったり(青方偏移)、赤くなったり(赤方偏移)する、あれです。 ちょっと計算してみましょう。次の想定をします。 観測者の…

向かってくる物体は超光速にも見える

「見かけの速度」というのがあります。 本当はその速度では動いていないが、その速度で動いているように見えるというものです。 例えば、100光年先の天体から、ロケットが光速度の80%で地球に向かってくるとします。 「ロケットが天体を出発した」とい…

光速度不変は出発点ではなく結論

いままでの記事で、「時間の伸び」、「長さの縮み」、「ローレンツ変換」、「速度の合成」について書きました。 その中では、「光速度は不変」ということは使っていません。 使ったのは、「われわれのいる時空間はミンコフスキー空間で、世界距離の2乗はど…

おなじみの「速度の合成」

アインシュタインの特殊相対性理論による速度の合成には、驚くべきことが二つあります。 ちょっとびっくり:単純な足し算じゃない とってもびっくり:垂直方向の速度も変わる! 速度の合成とは、ある系(慣性系)Aで観測した物体の速度がであるとき、その系…

ブラックホールに行ってみる(2)

(「ブラックホールに行ってみる(1)」のつづきです。) ブラックホールに行っては見たいが、重力で押しつぶされる、潮汐力で引き裂かれるという噂に、二の足を踏んでいる皆さんには、耳寄りな情報がありました。 それは、超々巨大ブラックホールでは、シ…

光は横から見えない、レーザー銃はよけられない

特殊相対性理論の一般向けの解説書などで、動いている系の時間の遅れの説明に、光の軌跡が見えているような図が出てきます。 これが混乱を招いて「相対性理論は間違っている」という人が出てくる原因になっているのではないか。 われわれはものを光で見てい…

われわれは光(ひかり)で世界を見ている

光(ひかり)について、まず書きたいことは、われわれは光で世界を見ている(観測している、検知している)ということです。 われわれが見ているのは、世界そのものなのか、それとも光というフィルターがかかったものなのか。 例えば、われわれが空間を3次元…