柵(しがらみ)なき重力論

自由に重力論を展開します。

おなじみの「長さの縮み」

動いている棒の長さを測るのは、簡単ではありません。
よく「同時刻に棒の両端の座標を見る」と言われますが、それは実際にはむつかしいです。
われわれは同時刻に異なる場所に存在することはできない(アリバイ証明の原理)ので、同時刻に棒の両端を直接見ることはできません。

ここでは、もう少し現実的(?)な方法を考えます。
動いている棒をある位置で待ち伏せし、棒のそれぞれの端が通過する時刻を記録して、その時間を測ります。
棒の速さ×通過にかかった時間 が「動いている棒の長さ」になります。
速度がわかっていれば時間で長さが測れるということです。

次に、長さの縮みをどう導くかですが、相対性の最も基本的な原理を使います。
それは、アインシュタイン相対性理論以前、ニュートン力学にも、たぶんそれ以前にもあった相対性です。
こちらから見て向こうが速度vで近づいてきているなら、向こうから見てこちらも速度vで近づいている、つまり、相対速度はどちらから見ても同じ、という相対性です。

時計と長さの関係でいうと、向こうの系とともに動いている棒の長さをこちらの系の時計で測り、長さ÷時間で速度を出すとvであり、こちらの系に固定されている(向こうから見ると動いている)棒の長さを向こうの系の時計で測って、長さ÷時間で速度を出しても同じvであるということです。

式にしてみましょう。
 向こうの系とともに動いている棒の長さ:l'
 こちらの系の時計で測った時間:dt
 こちらの系に固定されている棒の長さ:l ←向こうから見て動いている
 向こうの系の時計で測った時間:dt' ←こちらから見て伸びている
とします。
 v = \displaystyle\frac{l'}{dt} = \displaystyle\frac{l}{dt'}

時間どうし、長さどうしの比に直すと、
 \displaystyle\frac{dt'}{dt}\displaystyle\frac{l}{l'}
です。

時間の伸びについては、以前の記事で求めています。
 \displaystyle\frac{dt’}{dt} = \displaystyle\frac{1}{\sqrt{1 - v^2}}

したがって、
 \displaystyle\frac{l}{l'} = \displaystyle\frac{1}{\sqrt{1 - v^2}}

分子、分母を換えて、
 \displaystyle\frac{l'}{l} = \sqrt{1 - v^2}
です。

というわけで、棒の長さは、動いている系からは\sqrt{1 - v^2}倍に縮んで見えます。
\sqrt{1 - v^2}は1より小さい。v=1は光速度

動いていると距離は縮むということです。

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