柵(しがらみ)なき重力論

自由に重力論を展開します。

深宇宙探査機を見送る(3)

昨日の記事で、一定加速度 a で宇宙の果てまで旅をする深宇宙探査機を地球から見た速度 vは、

 \displaystyle v = \frac{a×t}{\sqrt{1 + (a×t)^2}} (式1)

であると書きました。

具体的な数値を入れて、どれぐらいの速さになるか見てみましょう。

式1は、光速度が1となる単位系で書いていますが、われわれが日常使っている単位系での数値を使うほうが身近に感じます。

光速度が1となる単位系と、われわれが日常使う単位系での速度 v'、時間 t'、加速度 a' とは、光速度c とすると次の関係にあります。
 v = v' / c
 t = c×t'
 a = a' / c^2

これらを式1に当てはめると、

 \displaystyle v' / c = \frac{(a' / c^2)×(c×t')}{\sqrt{1 + ( (a' / c^2)×(c×t') )^2}}

整理すると、

 \displaystyle v' = \frac{a'×t'}{\sqrt{1 + (a'×t' / c)^2}} (式2)

となります。

具体的な数値として、地上の重力加速度と同じ加速度で1年間加速した場合を計算しましょう。
 地上の重力加速度
  = 約9.8メートル/秒^2 = 約1×10メートル/秒^2 とする
 一年間
   = 31,536,000秒 = 約3×10^7秒 とする
 光速度
  = 約3×10^8メートル/秒 とする

式2の右辺に代入して、

 \displaystyle \frac{(1×10)×(3×10^7)}{\sqrt{1 + ( (1×10)×(3×10^7) / (3×10^8))^2}}

 = \displaystyle \frac{3×10^8}{\sqrt{1 + 1^2}}

 = \displaystyle \frac{3}{\sqrt{2}}×10^8

 = 約2.1×10^8メートル/秒
です。

地上の重力加速度と同じ加速度で1年間加速すると、光速度の70%ぐらいになるのですね。
案外早く、亜光速度に達します。

なお、この「1年間」というのは、地球上で見た時間です。
深宇宙探査機自体の時間ならもっと短いです。(つづく)

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