柵(しがらみ)なき重力論

自由に重力論を展開します。

世界距離は振動の累積数

ふたつの事象の間の世界距離はどのような系から見ても同じです。われわれは、そのような時空間にいます。

世界距離って、何なんでしょうか。

ある系から別の系を見ると、時間が伸びたり、長さが縮んだりする。そんな時空間において、どのような系から見ても同じものって何なんでしょうか。

それは、振動の累積数です。

 

例えば、いま宇宙飛行士がロケットに乗って、地球を出発してある天体に行ったとします。

事象1は地球を出発したこと、事象2は天体に到着したこと。

地球にいる観測者の系Aから見ると、ロケットはある速さで動いてその天体につきます。

ロケットと一緒に動く系A'から見ると、ロケットは動かず、天体のほうがロケットに近づいてきます。

系Aと系A'とでは、地球から天体までの距離は違うでしょうし、宇宙飛行士が天体に着くまでの時間も違うでしょう。

では、系Aと系A'とから見て、同じものとは何でしょう。

 

それは、例えば、地球を出発してから天体に着くまでの、宇宙飛行士の心拍の累積数です。

地球を出発してから天体につくまで、宇宙飛行士の心拍の累積数が1兆回であったとすると、その数は、系Aと系A'とから見て同じです。どんな慣性系から見ても同じです。

宇宙飛行士にとって、心拍1回の間隔(例えば1秒)に心拍の累積数に掛けたものは、地球を出発してから天体につくまでの時間になります。

これが宇宙飛行士の「固有時間」です。

 世界距離は固有時間であると言ってもいいでしょう。

 

世界距離は、
 世界距離の2乗 = 時間的距離の2乗 - 空間的距離の2乗
で求まります。

もし、宇宙飛行士(の乗ったロケット)が等速運動で地球から天体まで行ったなら、時間的距離も空間的距離も、事象1、2の座標の差から求めることができます。

どの系の座標を使っても大丈夫です。

 

もし、宇宙飛行士が、途中で、あちこち寄り道したり、加速・減速を繰り返したりするのであれば、それによって動いた距離やかかった時間が違ってきますから、事象1、2座標の差から時間的距離や空間的距離を求めることはできません。

そのような場合は、宇宙飛行士の経路を分解し、等速運動していた区間の始点・終点の座標の差からその区間の世界距離を求めて、それらを足し合わせて全体の世界距離を求めます。

世界距離は単純に加算することができます。

なぜなら、地球から途中点までの宇宙飛行士の心拍数の累積と、その途中点から目的の天体までの宇宙飛行士の心拍数の累積を足したものが、地球から天体までの宇宙飛行士の心拍数の累積になるからです。

連続的に加速度運動をするのなら、等速運動とみなせる微小区間に分割し、その区間の世界距離を求めて、全体区間積分すればよいです。

 

ということは、加速度運動をする物体についての時間に関する議論や計算は、一般相対性理論を使わなくても、特殊相対性理論の範囲でできる、ということですね。

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