向かってくる物体は超光速にも見える
「見かけの速度」というのがあります。
本当はその速度では動いていないが、その速度で動いているように見えるというものです。
例えば、100光年先の天体から、ロケットが光速度の80%で地球に向かってくるとします。
「ロケットが天体を出発した」という情報が地球に届くのは、実際に出発してから100年後のことですが、そのときには、ロケットはもう80光年分進んでいて、地球まであと20光年の位置に来ています。
実際、ロケットは、天体を出発してから125年後(=100÷0.8)に地球に到着しますが、それは、ロケットが天体を出発したことをわれわれが知ってから25年後(=125 - 100)のことです。
つまり、われわれから見て、ロケットは、100光年先の天体を出発してから25年後に地球に到着するのです。
見かけの速度は光速度の4倍(=100÷25)になります。
(まあ、この考えに基づけば、光自体の速度は無限大になりますが)
式にしてみましょう。
物体の速度を、天体までの距離を、光速度を1とします。
実際に地球までにかかる時間は、
物体が天体を出発したという情報が届くまでの時間は、
物体が天体を出発したという情報が届いてから物体が地球に到着するまでの時間は、
です。見かけの速度は、
です。
上のロケットの例だと、 です。
逆に、遠ざかる物体の速度は、実際の速度より遅れて見えます。
見かけの速度が現れるのは、われわれが光でものを見ている以上、避けられないことです。
さて、われわれは、実際の速度と見かけの速度を区別することができるでしょうか?