柵(しがらみ)なき重力論

自由に重力論を展開します。

ブラックホールに行ってみる(3)

(「ブラックホールに行ってみる(2)」のつづきです。)

 

超々巨大ブラックホールではシュワルツシルト半径での重力加速度が地球上と同じ程度になるという噂を信じて、超々巨大ブラックホールに行ってみることにします。

どれぐらい大きさのブラックホールなのか、計算してみましょう。(この後、計算式がつづきます)

 

シュワルツシルト半径r_gは、
 \displaystyle r_g = \frac{2G}{c^2}M (式1)
です。

ここで、
 Mは天体の質量(キログラム)
 c光速度(メートル/秒)
 G万有引力定数(約6.67×10^{−11}メートル^3キログラム^{−1}秒^{−2}

どれぐらい大きなブラックホールだと、シュワルツシルト半径での重力加速度が地球上と同じ程度になるのでしょうか。

重力加速度gが、質量Mに比例し半径rの2乗に反比例するとするとします。(重力が小さいのでニュートン力学で近似できるでしょう)
 \displaystyle g = G\frac{M}{r^2} (式2)

式1と式2から、シュワルツシルト半径と重力加速度の関係式を導いてみます。

式1と式2とで\displaystyle G\frac{M}{r}が共通項になっています。

式1を変形して、
 \displaystyle G\frac{M}{r_g} = \frac{c^2}{2}

式2を変形して、
 \displaystyle G\frac{M}{r} = gr

この二つが等しいとして、
 \displaystyle \frac{c^2}{2} = gr

半径rに関する式に直して、
 \displaystyle r = \frac{c^2}{2g}
です。

具体的な数値として、
 光速度の値 c = 299,792,458 = 約3×10^8メートル/秒
 地上の重力加速度の値 g = 9.80665 = 10メートル/秒^2
を代入してみます。

 \displaystyle r = \frac{(3×10^8)^2}{2×10}

 \displaystyle = \frac{9×10^{16}}{2×10} = 4.5×10^{15}

4.5×10^{15}メートルって、どれくらいの長さ? 大きすぎてわかりません。

地球と太陽の間の平均距離に由来する天文単位
 149,597,870,700 = 約1.5×10^{11}メートル
ですから、その3万倍ぐらい? うーん、よくわかりませんね。

1光年が
 9,460,730,472,580,800 = 約9.5×10^{15}メートル
ですから、約0.5光年。 こちらのほうが想像しやすいです。

 

では、そのブラックホールの質量はどれぐらいでしょう。

式1を変形して、質量Mに関する式に直して、
 \displaystyle M = \frac{c^2}{2G}r_g

これに
 光速度の値 c = 299,792,458 = 約3×10^8メートル/秒
 重力定数の値 G = 約6.67×10^{−11}メートル^3キログラム^{−1}秒^{−2}
 先ほど求めた半径 r_g = 4.5×10^{15}メートル
を代入して
 \displaystyle M = \frac{(3×10^8)^2}{2×6.67×10^{−11}}×4.5×10^{15}

 = 3.0×10^{42}
です。

 3.0×10^{42}キログラムって、どれくらいの重さ? 大きすぎてわかりません。

太陽の質量が1.989×10^{30}キログラムですから、その1.5兆倍ぐらい? 銀河系全体の質量と同じぐらいでしょうか。

 

そのブラックホールの密度は、質量を体積で割って、

 \displaystyle \frac{3.0×10^{42}}{\frac{4}{3}\pi(4.5×10^{15})^3} = 約0.8×10^{-5}キログラム/立方メートル

です。赤色超巨星と同じぐらいの密度かな。

(つづく)

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