昨日、双子のパラドックスを世界距離で解決する記事「「双子のパラドックス」(1)」を書きました。
その際、地球にいる(兄と同じ系にいる)観測者から見た式を立てました。
世界距離はどの系から見ても同じなので、計算が簡単になるよう、地球にいる観測者の系(座標)を使ったのです。
ただ、双子のパラドックスは兄弟の非対称性の問題ですので、公平(?)になるよう、弟とともにロケットで天体に向かう観測者から見た場合についても書いておこうと思います。(結果は同じですよ)
計算は結構面倒になりますが、長さの縮みや速度の合成も使うので、練習問題としてやってみましょう。
地球にいる観測者から見た想定は、天体までの距離は、弟のロケットの速度をはです。
ロケットで天体に向かう系から見ると、弟が天体に着くまでは、ロケットは静止していて、天体のほうが弟に速度で近づき、地球はその速度で離れていきます。
弟が地球に向かうときは、離れていく地球をロケットが追いかけます。
まず、弟が天体に着くまでの弟の世界距離です。
天体までの距離は、長さの縮の式のとおりに縮んでいます。
この距離を天体が速度で弟のほうへ近づきます。
天体が弟のところに着くまでの時間は、
です。
弟の移動距離はゼロです。
世界距離の2乗は、
世界距離は、
です。
次に、弟が天体から地球に戻ってくるまでの世界距離です。
天体が弟のところにいるとき、地球は距離 だけ弟から離れていて、速度でさら離れていきます。
弟はこの地球を追いかけます。
弟とともに天体に向かってきた観測者の系から見ているので、追いかける速度は、速度の2倍。ではなく、速度の合成の式になります。
地球が速度で離れているので、差し引きの速度は、
です。(ロケットが地球を追いかける速度も地球が離れている速度も観測者の系から見ている速度なので単純な加算でよい)
弟が地球に追いつくまでの時間は、離れている距離÷差し引きの速度で、
です。
弟が地球に追いつくまでに移動する距離は、速度×時間で、
です。
世界距離の2乗は、時間的距離の2乗-空間的距離の2乗で、
でくくり、
です。
世界距離は、
です。
弟の世界距離は、
です。
地球にいる兄の世界距離はどうなるでしょう。
弟が地球に帰ってくるまでの時間は、天体が弟のところに着くまでの時間+弟が地球に追いつくまでの時間です。
地球の移動距離は、速度×時間で、
です。
地球にいる兄の世界距離の2乗は、時間的距離の2乗-空間的距離の2乗で、
世界距離は、
です。
まとめると、
弟の世界距離は、 、
兄の世界距離は、
です。
地球上の観測者が見た値と同じですね。(よかった:-)