動いている物体の時間の伸びの補足
慣性系Aから、相対速度 で動く他の慣性系A'を見たとき、A'の時間は、 倍に伸びて(ゆっくり進むように)見えます。
慣性系Aに観測者が固定されていて、慣性系A'に物体が固定されているとき、観測者から見た物体の時間は、 倍(物体が観測者に正面向かってくるとき)、または、 倍(物体が離れていくとき)に縮んだり伸びたりして見えます。
なぜそんなことが起きるのかについて補足します。
物体であるイベントが一定時間かかって起きるとします。
観測者が、そのイベントが始まったこと・終わったことを知るには、イベントが始まったとき・終わったときから、そのときの物体から観測者までの距離を情報が伝わる時間がかかります。(情報は光速度以上では伝わりません)
物体(のある慣性系)は観測者(のいる慣性系)に対して動いているので、イベントが始まったとときと終ったときとでは、観測者から物体までの距離が異なっています。
つまり、物体でイベントが始まった時点からそれを観測者が知るのにかかる時間と、物体でイベントが終わった時点からそれを観測者が知るのにかかる時間とが異なるのです。
このため、観測者から見て、向かってくる物体ではイベントがより短い時間であった(時間が速く進んだ)ように、離れていく物体ではより長い時間であった(時間がゆっくり進んだ)ように見えるのです。
これはドップラー効果です。
時間が伸びるということは、距離÷時間 で計算される速度にも影響があるのでしょうか?
慣性系対慣性系での時間の伸びでは、光速度は変化しません。
観測者対物体での時間の伸びでは、光速度も変化するように見えます。
ただし、物体の中での光速度が変化するように見えますが、物体から発出される光の速度が変わるわけではありません。
物体から発出される光の振動数が変わります。