ブラックホールの定義
「ブラックホールに行ってみる(3)」で、超々巨大ブラックホールの半径を計算しました。
が、そもそも、「ブラックホール」って何なんでしょうか。(いまさらですが)
まず、よく見るブラックホールの定義の?な例
(1)「重力が強くて光でさえも脱出できない」
「光でさえも」というのは、たぶん「光速度でさえも」ということですね。
「天体からの脱出速度が光速度以上になる」ということと思います。
ニュートン力学の範囲でブラックホールを定義するなら、こうなりますね。
結果として「ブラックホールは見えない=そこからの光はここからは見えない」という意味では間違っていないと思います。
(2)「(光もふくめ)すべてのものを吸い込む」
何かがブラックホールに吸い込まれるところを誰も見たことがありません。
シュワルツシルト半径で時間が無限に伸びる(時間が進まない)ので、時刻 をパラメータとする物理事象は見えません。
ブラックホールが何かを吸い込むところは、ここ(地球)からは見えないのです。
では、(正しい?)ブラックホールの定義。
(1)「天体の半径がシュワルツシルト半径以下」
太陽(と同じ質量の天体)なら3km、地球なら1cmと言われているシュワルツシルト半径です。
上の(2)にも書きましたが、シュワルツシルト半径で時間が無限に伸びるので、そこでの物理現象を遠方から見ることはできません。
なお、時刻 をパラメータとしない物理事象、例えば「質量がある」とか、は見えるので、ブラックホールの質量を外から観測することはできます。
(2)ブラックホールの中から:「360°どちらを見てもブラックホールの内部。外はない」
360°どちらへ向かってもブラックホールの中へ向かうので、光でも外には出られません。そもそも「外」という概念がない世界。
これが、ブラックホールから何も出てこない理由です。
(3)ブラックホールの外から:「曲率が無限大で表面積がゼロ」
円周率 は、われわれがよく知っている空間では3. 1415…ですが、空間の曲率が大きくなるとどんどん小さくなり、曲率が無限大でゼロになります。
そして、表面積もゼロになります。
表面積がないので、われわれにはそれが見えません。