加速運動する物体を慣性系から見る:Y軸編(5)
一昨日の記事で、x軸方向へ定加速度 で動いている物体を、y軸方向に速度 で動く慣性系から見たときの物体の速度 を求めました。
です。
また、逆に、x軸方向へ定加速度 で動いている物体から、y軸方向に速度 で動く慣性系Aから見たときの速度 も、以前の記事で求めています。
です。
これらの関係はどうなっているでしょう。
慣性系から見たときの物体の速度の絶対値 の2乗は、
(式1)
です。
一方、物体から見たときの慣性系の速度の絶対値 の2乗は、
(式2)
です。
加速運動している物体も一瞬一瞬は慣性系にありますから、速度は、慣性系対慣性系の速度であり、どちらから見ても同です。
式1と式2の違いは、加速運動する物体と慣性系との時間の見え方の差です。
その時間の流れの違いを考慮すれば、式1と式2とは同じ値になるはずです。
物体での微小時間 は慣性系から見ると伸びています。
慣性系の微小時間を とすると、
(式3)
です。(以前の記事で、Y軸方向への速度がない場合について考えました)
式3を積分すると、慣性系から見た物体での経過時間となります。
を計算します。
です。
これを使って式3は、
です。
両辺を積分します。
(式4)
式4の左辺は、
( は積分定数)
です。
、 と置きます。
式4の右辺は、
です。
式4の左辺、右辺を合わせて、
積分定数は、 のとき とすると、 です。
(式5)
です。
式5を使って式1を変形します。
式2と同じになりました。