柵(しがらみ)なき重力論

自由に重力論を展開します。

加速度系を見るとき、加速度系から見るとき(2)

以前の記事で書きましたが、等加速度 a で宇宙の果てに向かう深宇宙探査機を地球から見たときの速度

 \displaystyle v(t) = \frac{a×t}{\sqrt{1 + (a×t)^2}} (式1)

と、深宇宙探査機に乗って地球を見たときの速度
 u(t)=\tanh(a×t) (式2)
とが対称になっていないのは、加速度 a が、深宇宙探査機自体の加速度であり、地球の加速度ではないからでした。

では、式1と式2の関係(違い)は何でしょうか。

 

それは、時間の流れの違いです。

地球での時刻 t と、地球から見た深宇宙探査機での時刻 t' との関係は、以前の記事「深宇宙探査機は耐用年数でどこまで行ける」で求めました。
 a×t = \sinh(a×t') (式3)

これを使って、地球から深宇宙探査機を見送ったときの速度(式1)から、深宇宙探査機に乗って地球を見たときの速度(式2)に変換してみましょう。

式1の  a×t に、式3を代入します。

 \displaystyle v(t) = \frac{a×t}{\sqrt{1 + (a×t)^2}}

 \displaystyle u(t') = \frac{\sinh(a×t')}{\sqrt{1 + \sinh^2(a×t')}}

\cosh^2x - \sinh^2x = 1 ですので1+\sinh^2x = \cosh^2x です。これを使うと、

 \displaystyle u(t') = \frac{\sinh(a×t')}{\sqrt{\cosh^2(a×t')}}

 \displaystyle u(t') = \frac{\sinh(a×t')}{\cosh(a×t')}

 u(t') = \tanh(a×t')
です。
式2に変換できました。

案外簡単でした。(面倒な計算は、以前の記事でやってしまいましたからね)

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