光が追いつけない(1)
以前の記事で、等加速運動する物体には光は追いつけないという記事を書きました。
その際は、
・等加速運動する物体の軌跡(位置対時刻)は双曲線である
・双曲線には漸近線があり、光の軌跡はその漸近線になる
・物体の軌跡(双曲線)は光の軌跡(漸近線)に交わらない
・したがって、その光は物体に追いつかない
と考えました。
今回は、「双曲線には漸近線がある」を既知とはしないで、物体の軌跡の漸近線を求めてみたいと思います。
等加速度 で運動する物体の軌跡 を、
(式1)
とします。
一般に、極限値 が存在する関数 において、直線 が漸近線であるならば、
(式2)
(式3)
が成り立ちます。
これを使って、等加速運動する物体の軌跡の漸近線を求めてみます。
まず式1について、
です。
が存在し、式2から、 です。
は物体の速度でので、1(光速度)を超えることはありません。
また が1より小さければ、必ず光に追いつかれます。
次に式3から、
ですが、 と置いて、
の置き換えをもとに戻して、
です。
漸近線は、
となります。
の位置から、時刻 に発せられた光は、物体に追いつきません。