離れていく物体の時間をグラフで考える(2)
観測者から離れていく物体での時間がどう見えるか、グラフで考える2回目です。
今回は、等加速度で離れていく物体について考えます。
観測者から見た物体の軌道を とします。(時刻 で位置 に物体があります)
は物体の位置、 は物体自体の加速度、 は観測者の座標での時刻です。(「深宇宙探査機を見送る(4)」を参照ください)
物体から観測者に向かって光が放たれ、観測者に時刻 に着いたとします。
光の軌道は、 です。
物体が光を放った時刻 は、光の軌道と物体の軌道との交点になります。(計算式の途中、掛け算の記号は省略します)
と との交点から、
です。
を表す式に変形します。
のかからない項を右辺に移し、
両辺の平方を取り、
再度 のかからない項を右辺に移し、
(式1)
となります。
物体が微小時間間隔 で光を2回放ち、観測者が微小時間間隔 でそれらを受け取るとします。
と の違いが、観測者から見た物体の時間と観測者の時間との進みの違いになります。
式1を で微分して、 を求めます。(観測者から見た物体の時間の伸びの比率は ですが、あとで逆数を取ります)
微分の第1項は、、()と置き換えます。
です。
微分の第2項は、
です。
合わせて、
となります。
ここで微分の逆数を取ります。
(式2)
観測者から見た物体での経過時間は、 倍になることがわかりました。
ただし、式2には特殊相対性理論(ローレンツ変換)による時間の伸びが考慮されていません。
一方、時刻 での物体の速度は、
(式3)
です。
特殊相対性理論(ローレンツ変換)を考慮しないドップラー効果(物体が離れていく場合)は、
です。(「誰にでもドップラー効果はある」を参照ください)
式3を適用します。
は、
です。
は、その逆数で、
です。
式2と一致しました。
特殊相対性理論(ローレンツ変換)の考慮は…。(ちょっと長くなるので、つづく)