離れていく物体の時間をグラフで考える(1)
観測者から離れていく物体での時間がどう見えるか、グラフで考えてみます。
観測者から見た物体の軌道を とします。(時刻 で位置 に物体があります)
は物体の位置、 は物体の速度、 は観測者の座標での時刻です。
物体から観測者に向かって光が2回放たれ、観測者に時刻 と に着いたとします。
2回の光の軌道は、それぞれ、、 です。
物体が光を放った時刻をそれぞれ と とすると、それらは光の軌道と物体の軌道との交点から求まります。
と との交点から、
(式1)
です。
と との交点から、同じようにして、
(式2)
です。
物体が光を放った時間間隔 と観測者が光を受け取った時間間隔 との違いが、時間の進みの違いになります。
式2から式1を辺々差し引くと
(式3)
となります。
観測者から見た物体での経過時間は、 倍になっていることがわかります。
ただし、式3の は観測者の座標で測った時間ですので、特殊相対性理論(ローレンツ変換)が考慮されていません。
物体での経過時間は物体での座標で測ります。
物体が光を放った2点間の世界距離は、等速運動する物体にとっては位置は変わっていませんから、その時間間隔を とすると です。
一方、観測者から見た世界距離は、時間間隔が 、空間間隔が ですので、 です。(われわれの時空間はミンコフスキー空間です)
世界間隔はどの座標から見ても同じですから、
(式4)
です。
式4と式3を合わせて、
となります。
観測者から見た物体での経過時間は、 倍になることがわかりました。
観測者に近づいてくる物体では、その軌道が です(時刻 で位置 に物体があります)ので、離れていく場合と同じように考えて、観測者から見た物体での経過時間は、 倍になります。
以前の記事「向かってくる・遠ざかっていく物体の時間の伸び縮み」で考えたと同じ結果になりました。