柵(しがらみ)なき重力論

自由に重力論を展開します。

誰にでもブラックウォールはある

深宇宙探査機に追いつけない光」の記事で書きましたが、地上の重力加速度と同程度の加速度で宇宙の果てに向かう深宇宙探査機には、出発から約1年後には地球から出す指令(光)は届かなくなります。

 

光が深宇宙探査機に追いつけないのは深宇宙探査機の加速度が大きいからではありません。

例えば、自動車は10秒前後で時速100キロメートルに達します。
加速度は、3メートル/秒^2 程度です。
その程度の加速度の深宇宙探査機でも、3~4年後には地球からの指令が届かなくなります。

どんなに小さな加速度でも、加速を続ける限り、光は追いつけないのです。 

 

これを、深宇宙探査機の側から見るとどうなるでしょうか。

地球はどんどん離れていき、やがて1光年に近づきます。

やがて地球は見えなくなるのでしょうか。
いえ、地球はなんとか見えています。(赤方偏移してどんどん赤くなっています)

地球時間で出発から1年後までに出された指令は、順に深宇宙探査機に届きます。
この期間に地球から出された指令は、地球から見て、深宇宙探査機は無限の時間をかけて受信するのです。

 

ところで…

「加速をつづければ後方に『ブラックウォール』ができ、その向こうは見えなくなる」という説明を見かけますが、それは間違い。

ブラックウォールの向こうからでも、過去に放たれた光は届きます。
ブラックウォールの向こう側の過去は見える。

ブラックウォールの向こうで、いま放たれた光は届きませんが、
ブラックウォールの向こうで、過去に放たれた光は、
いまはもう、ブラックウォールのこちら側に来ているので、見えるのですね。

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