柵(しがらみ)なき重力論

自由に重力論を展開します。

自由落下で重力をキャンセルできる?

自由落下によって、本当に、重力をキャンセルできるのでしょうか。

また、重力をキャンセルできるとして、どのようにキャンセルできるのでしょうか。

 

(1)「潮汐力」

「自由落下によって重力は完全にはキャンセルされず、潮汐力が残る」と言われることがあります。

① 質点による重力の大きさは距離の2乗に反比例しますので、質点に近いでは重力が強く、遠い点では弱くなります。
質点に向かう方向の距離が異なる二つの点が自由落下すると、それぞれに働く重力の強さ違いから、ふたつの点は離れるように動きます。

② 重力加速度は質点に方向に向かいます。質点に向かって平行位置にある二つの点が自由落下すると、それぞれに働く重力の方向の違いから、ふたつの点は近づくように動きます。

重力が完全になくなるわけではないというのです。

これについては、自由落下によってキャンセルできる重力は、重力源が平面である場合ということに留意しなければなりません。

重力源が平面であると、重力の強さは重力源からの距離によらず一定です。
また、重力加速度の方向も平行ですので、上の①②のような「潮汐力」は起こりません。

 

(2)重力ポテンシャルとドップラー効果

① 自由落下しているエレベータの中で、床から天井に向かってある振動数(周波数)の光を出します。
(自由落下しているのでエレベータの中に上下はなく、「床」も「天井」もないはずですが、あとでこのエレベータを地上から見るので、地上に近い側を「床」としておきます。)

自由落下しているエレベータの中は慣性系で、床も天井もこの慣性系に固定されていますから、床から出された光は、そのままの振動数で天井に届きます。

② 一方、このエレベータを地上から見ます。

エレベータの床のほうが天井に比べて地球に近く、重力ポテンシャルが深いですから、天井から見て床の時間は伸びています。

したがって、天井から見ると、床から出された光の振動数は小さく見える?と思いきや、天井は、床からの光が届く間に地上に向かって加速し、光を発したときの床より速くなっていますから、天井で見た光はドップラー効果により振動数が増えます。

この、重力ポテンシャルによる振動数の低下と、ドップラー効果による振動数の上昇が相殺され、床から出された光は、そのままの振動数で天井に届きます。

 

(3)重力がキャンセルされる仕組み

さて、「重力がキャンセルされる仕組みについて、みっつ考えられます。

① 自由落下は力学的な加速度運動であり、その加速度(慣性力)が重力加速度と相殺される。

② 重力は質量による空間の曲がりによって生じているが、力学的な加速度運動は空間を逆に曲げるので、空間の曲がりが相殺される。

③ 重力は観測者の立場によって見えている幻想であり、自由落下する観測者にはその幻想が見えない。

どれが正しいと思われますか。

いづれにしろ、自由落下によって重力がキャンセルされても、その重力を作り出していた質量が消えるわけではありませんね。

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