柵(しがらみ)なき重力論

自由に重力論を展開します。

向かってくる・遠ざかっていく物体の時間の伸び縮み

以前、「向かってくる物体は超光速にも見える」という記事を書きました。

向かってくる物体の見かけの速度 v_i は、実際の速度を v とすると、
 \displaystyle v_i=\frac{v}{1-v}
に見えます。

遠ざかっていく物体では、
 \displaystyle v_i=\frac{v}{1+v}
となります。

この、向かってくる・遠ざかっていく物体の時間の伸び縮みをみてみましょう。

 

100光年先の天体から、乗員(20歳)をのせたロケットが光速度の80%で地球に向かいます。

ロケットが天体を出発するとき、「ロケットが天体を出発。乗員の年齢は20歳」という情報を地球に送るとします。

その情報が地球に届くのは、ロケットが出発してから100年後のことですが、そのときには、ロケットはもう80光年分進んでいて、地球まであと20光年の位置に来ています。

ロケットは、天体を出発してから125年後(=100÷0.8)に地球に到着しますが、それは、ロケットが天体を出発したことを地球にいるわれわれが知ってから25年後(=125 - 100)のことです。

一方、ロケットから見ると、100光年の距離は36光年 (\sqrt{1-0.8^2}=0.36) に縮んでいます。

この距離を光速度の80%で進みますので、地球には45年(36÷0.8)で到着します。

地球に到着したロケットの乗員の年齢は65歳(20+45)になっています。

地球から見て、ロケットが天体を出発したこと知ってから25年後にロケットが到着しましたが、その間にロケット中では45年経っていたのです。

ロケット内の時間が1.8(45/25)倍に縮んでいる(1.8倍速く進む)ように見えます。

式にすると、時間の縮みは、
 \displaystyle \frac{\sqrt{1-v^2}}{1-v}
となります。

逆に、遠ざかっていくロケット内の時間は、
 \displaystyle \frac{\sqrt{1-v^2}}{1+v}
倍に伸びて見えます。

これらの伸び縮みは、向かってくる・遠ざかっていく光源のドップラー効果と同じです。

 

さて、地球から見た見かけのロケットけの速度は、地球にいるわれわれにとって本当の速度なのでしょうか?

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