2階建てロケットに乗る(3)
等加速度 で宇宙を旅する2階建てロケット。
1階と2階とで時間の流れが違うという噂の真偽を確かめています。
前2回の記事では、1階にいる乗務員Aが出した光信号が2階の乗務員Bに届くときの、Bの座標 を求めました。
乗務員A、Bは等加速度で運動していますが、これは、次々と慣性系を乗り継いでいることになります。
Aが光信号を出した瞬間にいた慣性系。この慣性系に「居残りA」が残っていると想定して、その居残りAの視点で考えています。(座標 も居残りAから見た座標です)
さて、このブログの読者から、1階と2階との時間の流れのちがいは、ローレンツ変換による時間の伸びと、光源が離れていくときのドップラー効果の合わせ技ではないか、との情報がありました。
居残りAから見たロケットの速度は、
(式1)
です。
また、光源が速度 離れていくとき、ドップラー効果(ローレンツ変換による時間の伸びをあわせたもの)により、光源の時間は、
(式2)
倍に伸びて見えます。
式1と式2から、2階の乗務員Bから見た1階の乗務員Aの時間の伸び率を計算してみましょう。
なお、Aが出した光信号がBに届くまでには時間差がありますから、Bはその時間だけ過去のA、つまり居残りAを見ることになります。
まず、式2を変形します。
に式1を代入してを計算しておきます。(掛け算の記号は省略します)
も同じように、
です。
は、
分子・分母に を掛けます。
ですので、
です。
まとめると、光源の時間の伸びは、
となりました。