柵(しがらみ)なき重力論

自由に重力論を展開します。

シュワルツシルト半径は特異点か

先日、ブラックホールに向かって飛び立った後に、「ブラックホールの定義」が出てきました。

ところが、今度は、「シュワルツシルト半径」についての疑義が…。
シュワルツシルト半径が特異点かどうか。
これは、ブラックホールに行こうとしている者にとって、重要なことです。

 

シュワルツシルト半径は特異点であるという主張:

シュワルツシルト半径は特異点であり、シュワルツシルト半径の微小距離 ε 手前から見ても、シュワルツシルト半径での時間の流れはゼロである。
もし、シュワルツシルト半径が特異点でないなら、微小距離 ε 手前から見ると時間の流れはゼロにならないことになる。(そういう ε がある)
そうなら、シュワルツシルト半径から ε 離れたところに、光なりなんなりが出てこれる。
そうすると、そこからまた光なりなんなりがずーっと、いくらでも外に出てこれることになる。
そんなことは起きないので、シュワルツシルト半径は特異点でなければならない。

 

シュワルツシルト半径は特異点でないという主張:

特異点だと、間近まで行っても、シュワルツシルト半径のところで時間の流れがゼロになり、その中に入っていけない。
シュワルツシルト半径のところの重力加速度が地上と同じぐらいになる超々巨大なブラックホールも、計算上、あり得る。
そんな超々巨大なブラックホールなら、シュワルツシルト半径の前後で、ほとんど重力加速度は変わらない。
そこへロケットで入っていこうとすると、シュワルツシルト半径は特異点なら、ロケットの先頭で時間の流れがゼロになり動かなくなる。
一方、ロケットの末尾では時間が流れていて、末尾はどんどんシュワルツシルト半径に近づいていこうとするので、ロケットはペッチャンコになってしまう。
そんなことは起きるはずはなく、シュワルツシルト半径は特異点ではない。

 

どちらが正しいでしょうか。

 

まるくおさめる(おとなの)主張:

座標の採り方によって、シュワルツシルト半径は特異点になったりならなかったりします。
ブラックホールに落ちていかないように、んーっと踏ん張っている観測者(の座標)にとっては、シュワルツシルト半径は特異点になります。
ブラックホールにぼーっと自由落下する観測者(の座標)にとっては、特異点ではありません。シュワルツシルト半径と言っても、特に何かがあるわけではありませんので、安心して落ちていってください。

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