柵(しがらみ)なき重力論

自由に重力論を展開します。

おなじみの「回転する円周の縮み」(1)

特殊相対性理論では、速度 v で動いている物体の長さは \sqrt{1-v^2} 倍に縮んで見えます。

回転する円盤の円周も、ある速さで動いていますから、縮んで見えます。

円周が縮むと、その長さが 2\pi rr は円盤の半径)より短くなることから、「平面の円盤ではなくなる。特殊相対性理論の矛盾だ」とパラドックスが唱えられることがあります。
しかしそれは、円周全体を同時に見渡せるという宇宙の神の視点を想定したことから生まれるパラドックスです。

特殊相対性理論で導かれるのは、回転する円周をその円盤に対して静止している視点から見ると縮んで見える、ということです。

 

回転する円周を測りましょう。どうやって測ります? 

まず、静止している視点を決めます。円盤の中心から見ればよいですか?

中心も、接線方向の速度はゼロですが、ぐるぐると回っているので、静止している視点としては信用できないかもしれませんよ。

視点は、円周の外側、円周と接する一点に置きます。

次に、円周にひとつマークを付けます。

円周と接する一点でそのマークを待ち伏せます。(以前、動いている棒の長さを測る記事を書きましたが、これはその円周版です)

マークが視点の前を通過する時刻を記録し、1週廻ってまたマークが通過する時刻を記録します。

その時刻の差を dt とします。

円周の接線方向の速度を v とすると、円周 l’ は、
 l’ = v×dt
です。

円周の接線方向の速度は、たとえば、円周から接線方向に光を出してドップラー効果で測ればよいです。

接線方向の速度 v で回転している円周は、止まっているときの円周の \sqrt{1-v^2} 倍に縮んで見えるので、
 l’ = v×dt = 2\pi×r×\sqrt{1-v^2}
です。

静止している視点から見ると、円周は1周にかかる時間は、

 \displaystyle dt = 2\pi×r×\frac{\sqrt{1-v^2}}{v}

です。

 

さて、余談ですが、最近、回転するものが少なくなってきました。

昔は、レコード、CD、磁気テープ、フロッピーディスク、ハードディスクなど、いろいろあったのですが…。

回転する円周が縮んでも「レコードがジャケットからはみ出すのではない」、「フロッピーディスクがジャケットからはみ出すのではない」という例えは、もう誰も理解できません。

円周が縮んでも平面からはみ出ないのはどうしてでしょうか。

回転によって「円周率が縮んだ」とは解釈できませんか。

縮んだ円周率を \pi’ とすると、
  2\pi’×r= 2\pi×r×\sqrt{1-v^2}
 \pi’= \pi×\sqrt{1-v^2}
となります。 

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