柵(しがらみ)なき重力論

自由に重力論を展開します。

2階建てロケットに乗る(4)

等加速度 a で宇宙を旅する2階建てロケット

1階と2階の距離を h とすると、1階の乗務員Aが時刻 t=0 のときに出した光信号が2階の乗務員Bに届く時刻 t_e は、

 \displaystyle t_e = h×\frac{1-a×h/2}{1- a×h} (式1)

でした。(注意:居残りAの視点から見た時刻です)

 

今回は、具体的な数値を入れてみましょう。

光速度が1となる単位系での加速度 a、時間 t と、われわれが日常使う単位系での加速度 a′t’ とは、光速度cとすると、
 a=a'/c^2t = c×t’
の関係にあります。

これを式1に代入して、

 \displaystyle t_e = h×\frac{1-a×h/2}{1- a×h}

 \displaystyle c×t_e’ = h×\frac{1-(a’/c^2)×h/2}{1- (a’/c^2)×h}

です。

加速度 a’ を地上の重力加速度(約9.8メートル/秒^2)程度とします。
光速度 c は、約 3×10^8メートル/秒です。
a’/c^2は、9.8/(3×10^8)^2=1.09×10^{-16} です。

 \displaystyle c×t_e’ = h×\frac{1-(a’/c^2)×h/2}{1- (a’/c^2)×h}

 \displaystyle = h×\frac{1-1.09×10^{-16}×h/2}{1-1.09×10^{-16}×h}

ロケットが超大型で1階・2階の差が h=100 メートルであったとしても、

 \displaystyle c×t_e’ = h×\frac{1-1.09×10^{-16}×10^2/2}{1-1.09×10^{-16}×10^2}

 \displaystyle = h×\frac{1-1.09×10^{-14}/2}{1-1.09×10^{-14}}

となりますから、

 \displaystyle c×t_e’ \approx h×\frac{1}{1}=h (式2)

です。

c×t_e’ =h ですから、t_e’ =h/c です。

これくらいの加速度の大きさなら、ロケットの1階から2階へ光信号が届くのにかかる時間は、単に、1階・2階の差を光速度で割った時間になるのですね。(つづく)

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