柵(しがらみ)なき重力論

自由に重力論を展開します。

速度が大きいと加速しにくくなるの…

昨日の記事で、一定加速度 a の深宇宙探査機から見て、地球や地球に対して等速運動を行っている物体の速度 u(t) がどうなるかについて書きました。

速度 u(t)
 u(t) = \tanh(a×t+C) (式1)
となることがわかりました。(u(0) = \tanh(C)

その計算の途中で、深宇宙探査機から見た物体の加速度も求まっていました。

 \displaystyle \frac{d}{dt}u(t) = a×(1 - u(t)^2) (式2)

式1を代入すると、
 \displaystyle \frac{d}{dt}u(t) = a×(1 - \tanh^2(a×t+C))

です。

これらの式からわかることは「速度が大きいと加速度が小さくなる」ということです。

 

以前の記事で、地球から見て、深宇宙探査機を見送ったときの加速度も、深宇宙探査機の速度が大きくなるにつれて加速度が小さくなっていました。

そのときも、「速度が大きくなると質量(相対論的質量)が大きくなるために加速しにくくなる」のではなく、「加速しにくくなるのは速度の合成のため」と書きました。

「質量が大きくなるために加速しにくくなる」というのは、「質点の加速度 a は、そのとき質点に作用する力 F に比例し、質点の質量 m に反比例する」というニュートン運動方程式

 \displaystyle a = \frac{F}{m}

を使って、この相対論的な現象を説明しようとするものです。

それがあまりよくない説明であることは、この、深宇宙探査機から見た物体の加速度で、もっとよくわかりますね。

物体には何の力も働いていなく、その加速度は逆方向に加速する観測者から見て現れたものですから、力とも質量とも無関係ということがはっきりします。

 

さて、「速度が大きい物体は加速度が小さくなる」と言っても、式2からもわかるように、かなり光速度に近づかないと加速度は小さくなりません。
光速度の10%で、速度ゼロのときの加速度の99%です。
 1 - u^2 = 1 - 0.1^2 = 0.99

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