擦れ違う物体の速度(2)
昨日の記事で、物体が観測者とすれ違う場合の、観測者から見た物体の速度を求めました。
物体が観測者に近づいてくる位置にいるときには、
物体が観測者から離れていく位置にいるときには、
でした。
ここで、 は観測者がいる慣性系での物体の速度、 はすれ違い点から物体までの距離、は観測者からすれ違い点までの距離です。
ただ、物体の位置を連続的に見るには、物体の位置によって式が分かれていないほうがよいです。
そこで、観測者から物体を見た角度 を使って、ひとつの式で表してみます。
観測者がいる慣性系での物体の速度 を、観測者に正面から向かう方向への成分と、それに垂直な成分に分解すると、観測者に正面から向かう方向への成分は です。
は、 が (90度) を挟んで正負が入れ替わります。
物体が観測者に近づいてくる位置にいるときには 、すれ違うときには 、観測者から離れていく位置にいるときには となります。
観測者に正面から向かう方向への成分で、観測者から見た物体の速度 を表すと、
となります。
これは、以前の記事「向かってくる物体は超光速にも見える」で求めた、物体が正面から観測者に近づく場合の式で、速度 を で置き換えたものです。
さて、
の分子・分母を で割って、
ですが、 は、物体が観測者に近づいてくる位置にいるときには、
は、
ですので、
となり、昨日求めた式と一致します。
物体が観測者から離れていく位置にいるときも同じです。