「回転する円周は伸びて見える」という解説を見かけましたので、注意喚起の意味も兼ね、補足しておきます。
その解説をよく読むと「回転する観測者から見ると円周は伸びて見える」と書いてありました。
観点する観測者は、静止している円盤から見ると、円周の接線方向にある速度で動いています。
静止している円盤から見ると、観点する観測者の定規は縮んでいます。
その縮んだ定規で円周を測るので、円周が伸びて見えるのですね。
逆に、「回転する円周は静止している観測者からは伸びて見える」が間違いということはすぐにわかります。
まず、その伸びて見える円周の長さを とします。
円周が回転すると伸びるということは、角速度 の増加に対して円周の長さ が増加するということです。
観測者から見て円周が一周するのにかかる時間を とします。
円周の接線方向への速度 は、円周÷一周にかかる時間 で計算できます。
特殊相対性理論を前提としていますから、この速度は光速度を超えません。
角速度 の増加に対して円周 が増加し、速度 が1に収束するのであれば、 円周が一周するのにかかる時間 も角速度 に対して増加しなければなりません。
ところが、円周が一周するのにかかる時間 は、角速度 が小さければ(ゆっくり回っていれば)長く、角速度 が大きければ(速く回っていれば)短いですね。
つまり、円周が一周するのにかかる時間 は、角速度 の増加に対して減少します。
ということで「円周が回転すると伸びる」は矛盾です。