「相対性理論は間違っている」に出会ったら(1)
「相対性理論は間違っている」に出会ったときの対処法を何回かに分けて書きます。
(1)何が間違っていると言っているのか
①「特殊相対性理論が間違っている」のか、「一般相対性理論が間違っている」のか
「特殊相対性理論が間違っている」と言っているのか、「一般相対性理論が間違っている」と言っているのかによって、事情が違います。
「特殊相対性理論」と「一般相対性理論」とは、あとの③で書きますが、目的は同じですが理論としては全く別です。
どちらが間違っているのかがはっきりしていない場合は、スルーしたほうがよいでしょう。
(ついでですが、「一般相対性理論は 特殊相対性理論を一般化したもの」と書いてある解説書もスルーしたほうがよいのではないかと思います)
②「相対性理論が間違っている」のか、「相対性理論の説明が間違っている」のか
特殊相対性理論について間違っていると主張されている方々の中には、間違った相対性理論の説明を受けて、それが間違っていると考えていらっしゃる方々がたくさんおられるのではないでしょうか。
以前の記事「相対論の説明ワースト」にも書きましたが、多くの「間違った相対性理論の説明」があります。
「『間違った相対性理論の説明』は間違っている」という主張は、正しいことが多いです。
③「相対性理論の何が間違っている」のか
「特殊相対性理論」も「一般相対性理論」も、座標変換と、座標変換による物理法則の不変性の定式化の理論(またはアイデア)です。
ニュートン力学の第二法則(質点mの質点に力Fが作用すると、力の方向に加速度aが生じる) のような物体の運動に関することは何も言っていません。
したがって、「相対性理論による物体の運動の記述は間違っている」は、論点ずれなので、スルーしたほうがよいでしょう。
なお、「特殊相対性理論」は光速度不変を原理とする理論と言ってもよいと思いますが、「一般相対性理論」では光速度が遅くなることがあるとなってしまいます。
「特殊相対性理論」は、(慣性)系vs.系の視点がメインで、これに観測者vs.被観測物の視点がちょっと入った理論ですが、「一般相対性理論」では、一旦、系vs.系の視点をあきらめて(光速度不変をあきらめて)考えておきながら、結果として、系vs.系のテンソルを導入しているという、ちょっとわかりづらい理論です。