電~
いままでに自分たちの社会になかった新しい概念が他の社会から入ってきたとき、それを言葉としてどう表すか。
日本にはカタカナという便利な文字があるので、わたしは、言語の発音に近くカタカナで表すのがよいと思っています。
意味のある漢字を組み合わせた造語で表すのがよいという考えもあります。
原語の由来、その概念の背景、そして造語の漢字の意味がぴったり来ればよいですが、そうではないものも多いです。
わたしが気になっているのは「電~」です。
漢字の「電」は「雷」(いなずま)の別字。
「Electricity」を「電気」としてしまったせいで、「ベンジャミン・フランクリンは雷が電気であることを発見した」というおかしな言い回しができてしまいます。
「ベンジャミン・フランクリンは雷が雷であることを発見した」のですから。
「Electricity」は、ギリシャ語の「琥珀」(electorn)から来ていて、琥珀をこすり合わせることで静電気が発生したという故事に基づいているようです。
中国にも日本にも静電気はあったと思うのですが、それを表す言葉をアレンジして使えなかったのか。
中国や日本には静電気を生じる素材が少なく、静電気は認識されていなかったという説を聞いたことがあります。
または、雷が静電気の放電であることを古代から知っていたのでしょうか。
さて、わたしが特に「電~」が気になるのは、訳語に「ele~」と「tele~」の混同があるからです。(「tele~」は古代ギリシャ語の「遠方の」から来ています)
例えば「telephone」、「telegram」に「電話」、「電報」という訳語を当ててしまったのは(中国語をもとにしたのかもしれませんが)、失敗ではなかったのか。
「遠話」、「遠報」とすべきではなかったのかと思います。(「telescope」は「望遠鏡」ですから、そういう訳語を発想できたはずです)
「電話」が訳語として失敗なのは「糸電話」という奇妙な日本語からもわかります。(糸電話に電気は使われていませんね)
そこを走っている「臨海副都心線」の駅「東京テレポート」の中国語表記が「东京电讯」となっていることから推測すると、「東京エレポート」ですね。
「テレポート」とは超能力のような名前になってしまいました。
または、量子テレポーテーションの先取りかもね。