「系vs.系」vs.「観測者vs.物体」のまとめ(1)
「慣性系vs.慣性系」と「観測者vs.被観測物」との比較をまとめておこうと思います。(以前類似の記事「系の視点、観測者の視点」を書いていますので、そちらも参照ください)
①共通
・慣性系vs.慣性系
系と系との関係は、相対速度、軸の方向、原点 の違いです。
計算を簡単にするために、軸の方向は一致、原点も一致と考えます。
・ 観測者vs.被観測物
観測者と被観測物との関係は、両者間の距離と、向かってくるか・離れていくかです。
②速度
・慣性系vs.慣性系
慣性系A対慣性系A’の相対速度を とします。
速度は です。(当たり前ですね)
・ 観測者vs.被観測物
慣性系Aに固定されている物体を慣性系A’に固定している観測者が見ます。
物体が観測者が同じ位置にある場合;
観測者が見る物体の速度は です。
物体が観測者に向かってくる位置にある場合;
観測者が見る物体の速度は です。
(求め方は「向かってくる物体は超光速にも見える」を参照ください)
系の相対速度の 倍速くなります。
なお、光速度を1とする単位系です。
物体が観測者から離れていく位置にある場合;
観測者が見る物体の速度は
系の相対速度より遅くなります。
③時間の伸び
・慣性系vs.慣性系
相手の系の時間は、互いに 倍に(ゆっくり進むように)見えます。
ローレンツ変換です。
例えば、相対速度が光速度の50%であるとすると 倍です。
あちらの系で1年かかったイベントは、こちらの系から見ると約1.15年かかったように見えます。()
・ 観測者vs.被観測物
物体が観測者に向かってくる位置にある場合;
観測者が見る物体の時間の流れは 倍に見えます。
(求め方は「向かってくる・遠ざかっていく物体の時間の伸び縮み」を参照ください)
ローレンツ変換×ドップラー効果です。
例えば、相対速度が光速度の50%とすると 倍です。
物体での1年は、観測者から見ると約0.67年に見えます。()
物体が観測者から離れていく位置にある場合;
観測者が見る物体の時間は 倍に見えます。
④速度の方向の長さの縮み
・慣性系vs.慣性系
相手の系での長さは、互いに 倍に縮んで見えます。
・ 観測者vs.被観測物
観測者が見る物体の長さは 倍に縮んで見えます。
物体が観測者から離れていく位置にある場合;
観測者が見る物体の長さは 倍に縮んで見えます。
⑤相対速度に垂直の光速度
・慣性系vs.慣性系
相手の系での光速度は、こちらの系での光速度と同じ、1です。
・ 観測者vs.被観測物
物体が観測者に向かってくる位置にある場合;
観測者が見る物体での光速度は です。
光速度は1より速く見えます。
(求め方は「向かってくる・遠ざかっていく物体での光速度」を参照ください)
物体が観測者から離れていく位置にある場合;
観測者が見る物体での光速度は です。