加速運動する物体を慣性系から見る:Y軸編(1)
動いている物体を異なる慣性系AとA’から見たとき、系A’から見た物体の位置と速度が系Aから見るとどう変換されるか、物体の動きと系の動きが直交する場合についても何回かに分けて考えてみます。
系の動きはy軸方向とします。
ローレンツ変換の式は、
(式1)
(式2)
(式3)
とします。(ここで、)
系Aから見た系Aの時刻 での物体の位置は、
、
系A’から見た系A’の時刻 での物体の位置は、
、
です。
系A’から見た物体の位置 、 の形がわかっているとして、それをもとに 、 の形を求めます。
ローレンツ変換の式1、式3より、x軸の位置は、
(式4)
です。
これは、 の形がわかったらその を に替えれば になるということです。
y軸の位置は式2より、
式3を代入して、
(式5)
となります。
これは、 の形がわかったらその を に替え、 倍して、 を加えれば になるということです。
さて、簡単な場合として、系A'から見て物体がx軸方向へ等速度 で動いており、y軸方向へは で動いていない場合を考えます。
、
です。
y軸の位置は式5より、
(式6)
です。
x軸の位置は式4より、
ですが、 ですので、
式6を代入し、
を展開し、
(式7)
です。
y軸方向の速度だけだと簡単でしたね。
もう少し複雑な場合として、物体がx軸、y軸両方へ速度を持って動いている場合を考えます。
系A'から見て物体がx軸方向へ速度 で、y軸方向へは で動いているとします。
、
y軸の位置は式5より、
ですので、
を左辺に集め、
(式8)
となります。
x軸の位置は式4より、
ですので、
式8を代入し、
を展開し、
(式9)
さて、式8と式9で と は の形になっていますので、その定数をそれぞれ 、 とします。
式8から、
(式10)
式9から、
(式11)
となります。
式10と式11は、速度の合成の式になっています。