なぜむつかしい「量子力学」
「相対性理論は間違っている」はときどき見かけますが、「量子力学は間違っている」はあまり見かけません。
「相対性理論は間違っている」が出るのは、われわれの日常常識と理論から導かれる結論がかけ離れていることに起因しているところがあると思いますが、「量子力学」も、われわれの日常常識とはかけ離れています。
物理学は、
・数式で物事を記述すること
・物理的なイメージを描いて理解すること
の2面があると思います。
量子力学は、超絶頭脳が大勢集まって力業で築き上げた理論ですね。
理論の目的は、
・とにかく計算すること
・計算結果が実際と合致すること
です。
計算できなくなったら、「繰り込み理論」の刃を抜き、現在考えている領域でとにかく計算してしまい、中身がわからないところは先に繰り越しします。
それでも、その計算結果は実際と合うんです。
ただ、量子力学は「物理的なイメージを描いて理解すること」がむつかしですね。
それが、「量子力学は間違っている」が稀な理由であり、また 量子力学がむつかしい理由と思います。
余談ですが、「光(または電子など)は粒子と波との二重性を持っている」と言われることがあります。
われわれは、かつて、ものごとは粒子か波かのどちらかだと認識していました。(「古典論」)
しかし、いまでは、それは「量子」であることを知っています。
観測の仕方によって、粒子の性質を観測したり、波の性質を観測したりします。
ものごとは粒子か波かのどちらかだという認識は、間違いであるとして、改めなければならなりません。
「二重性を持っている」というのは、その認識を改めず、古典論の枠で量子を理解しようということです。
二重性は、そのものごとのせいではなく、観測者であるわれわれのせいですよ。