重力源が直線の場合
2か月ほど前の記事「逆2乗は重力の性質じゃない」で、3次元空間で重力源が円筒(中心の直線に質量が集まっているとみなせる)の場合、重力加速度は距離に反比例すると書きました。
その際、計算式を示していなかったので、ここで計算してみたいと思います。
直線から距離 にある点Pでの重力加速度を求めます。
点Pから直線に下した垂線の足を点Oとすると、点Pから点Oまでの距離が ということです。
質量の線密度を とします。
直線上、点Oから だけ離れた点Qの微小部分 にある質量 から点Pが受ける重力は、点Pと点Qとの距離 の2乗に反比例するとして、
です。(重力定数が1になる単位系を使います)
この重力のうち、直線への垂線方向への成分は、幾何学的な関係から、
です。
直線への平行方向への成分は、点Oから見て反対側にある微小部分の質量から受ける重力と相殺されます。
また、距離 は、
です。
以上から、微小部分の質量から受ける重力は、
です。
これを から まで積分すれば、直線全体から受ける重力が求まりますが、点Oから見て左右対称ですので、 から まで積分して2倍しても同じです。(掛け算の記号は省略します)
定数部分を前に出します。
置換積分を使います。
、
と置きます。
は、
となります。
また は、
となります。
定積分の範囲は のとき 、 のとき です。
積分は、
となります。
双曲線関数の公式 を使います。
のとき 、 のとき ですので、
です。
直線に質量が集まっている場合の重力加速度は距離に反比例します。